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アキレス腱断裂の歩行療法ってどうなの?

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2024.02.26 | カテゴリー: 脚の障害,足首の障害

歩行療法

かしわだ接骨院ではアキレス腱断裂に対して

手術は行わなず回復・癒合させております。

そんな対応をしているので患者さんから

アキレス腱断裂の“歩行療法”というものについて

よく質問されることがあります。

 

私も改めて調べてみると

様々な意味で面白い方法だなと思いましたので、

今回は私なりに解説をしていきます。

歩行療法とは

アキレス腱断裂の詳細な評価は度外視して

(断裂してからの期間、断裂部位、断裂様式など)

とにかく全てのアキレス腱断裂で

「その日から松葉杖も使わず固定して歩かせる」

という方法のようです。

原則としてそれだけの施術対応のようです。

 

ちなみに医学的には歩行療法といったものはそもそも存在せず

”手術対応→観血療法” か ”手術しない対応→保存療法”

という二つの区分けしかありません。

”歩行療法”は保存療法という手術をしない方法の中で

様々存在する対応方法の一つに過ぎないということです。

歩行療法のメリットは

歩行療法を掲げる方たちのメリットとして

①固定期間が短い(4週間)

②松葉杖は一切使わない

③固定除去後のリハビリは必要ない

この3点がメインで挙げられているようです。

 

「なるほどな」と感じます。

この言葉だけを聞くと確かに魅力的です。

しかしこの言葉は果たして本当なのでしょうか?

 

①・②・③のメリットについて考察してみました。

メリット = デメリット・リスク

①固定期間が短い ②松葉杖は使わない

についてはまとめて解説しますが、

この二つの方法はべつに特別な技術が必要なわけではありません。

保存療法をしっかりと行えるレベルの医療機関であれば

原則どこの医療機関でも行える方法です。

※当院でも①②をどうしても希望される方には

後述するリスクを厳重に伝えた後に対応は行っています。

 

では、なぜそんな対応をする施設がないかというと

ずばり合併症や後々のリスクが高まるからです。

 

アキレス腱断裂の方の多くが初診時にはなんとか歩いて来院されます。

つまり歩くこと自体は固定をせずとも可能なのです。

 

しかし、可能だからと言って初めから体重をかけてしまうことによって

・断裂したアキレス腱の断端に力がかかり離れてくっつかなくなったり

・回復段階の弱いアキレス腱に負荷がかかりすぎることで

炎症がぶり返したり、再断裂してしまったり、異常に太くなったり…

このようなケースが起こることは容易に考えられます。

全て初期の松葉杖や固定期間をもう少し長くとることで防止できます。

 

通常のアキレス腱断裂の固定(ギプスや装具)というのは

組織の回復具合に合わせて足を下に伸ばしたポジションから

足首を上に起こしたポジションに段階的に変更していきます。

こうすることでガニ股での歩き方を矯正していくのです。

またこの手順を踏むことで自然とリハビリにもなります。

 

③の「リハビリがいらない」ということは

通院の手間が減ることには間違いなくつながります。

しかし、固定を外したばかりでは必ず残るであろう

・ガニ股でしか歩けない

・足首を上に起こせない

・足の筋力が明らかに弱い

このような症状は確かに時間経過でもある程度改善しますが、

適切なリハビリを行わないままでは完全には元に戻りきらなかったり、

あるいは通常よりも数カ月単位で回復が遅れてしまうことがほとんどです。

 

また、歩行療法ではない通常の保存療法は昨今再注目されていて

適切な期間での固定やリハビリを行うことができれば

・手術と比べても再断裂率に変わりがないこと

・固定期間や松葉杖の使用期間にも大きな差がないこと

・トップアスリートにとっても支障がないこと

などが最新の研究からも多数報告されています。

 

歩行療法のようなリスクを冒さなくても

固定やリハビリが適切に行われれば

アキレス腱断裂は手術をしなくても

十分な回復が期待できるケガと言えます。

歩行療法はどんな方にはおすすめか

今までの解説を通してもお伝えしてきた通り

適応になる方はかなり限定されるかと思います。

・どうしても松葉杖は使いたくない、使うことの危険性が高い

・リスクを冒しても通院機会をとにかく最小回数にしたい

といった事情のある方には一部該当するのかもしれません。

 

しかし、上記でもご説明した通り

歩行療法が提唱するメリットは残念ながら

リスクやデメリットとも隣り合わせであることは

多少なりとも認識していただくと良いかと思います。

 

アキレス腱断裂の手術や歩行療法のことで

お悩みでしたら些細なことでもお気軽にご相談ください。

最後までご覧いただきありがとうございました。