本当は怖い打撲の痛み CRPSに注意!
「レントゲン検査をして骨は問題がなかった」
「ただの打撲だから大丈夫だと思います」
様々な場面で非常によく聞く言葉なのですが
このフレーズは果たして本当なのでしょうか?
確かに骨折は起こしていないケースもありますが
”打撲”という身体に直接何かがぶつかった衝撃により
筋肉などの組織が大きく損傷していることもあります。
骨の内部の内出血→骨挫傷を起こしてることもあります。
「そして単なる打撲だから大丈夫」と
安静や固定などの適切な対応がなされないことで
数カ月~数年に渡り強い痛みが残ってしまう
CRPSという非常に厄介な障害も存在します。
今回はいわゆる”単なる打撲”からでも発生する
”CRPS”という障害を掘り下げて解説していこうと思います。
CRPSとは
病院で整形外科を受診して
レントゲン検査を受け
「骨には問題ありません」と説明をされ
湿布と痛み止めなどを処方されて
しばらく様子を見て下さいと言われる。
昔から非常によくあるパターンです。
もちろん診察やレントゲン検査によって
骨折などの重篤な損傷の危険性を排除しているという意味では
初期対応として非常に重要ではあるのですが、
だからといって上記の様子見対応では
その後の経過におけるCRPSのリスクについて
しっかりと回避しているとはとても言えません。
打撲などのケガでは初期の対応がおろそかなことで
痛みなどの炎症反応が長く続いてしまうと
〇 CRPS(複合性局所疼痛症候群)
→ Complex Regional Pain Syndrome
〇 RSD(反射性交感神経ジストロフィー)typeⅡ
→ Reflex Sympathetic Dystrophy
といった厄介な状態の引き金になってしまう事があります。
※現在でも様々な見解がありますがこの二つの名称は
ほぼ同様の状態と考えて差し支えありません。
CRPSの特徴
名称自体も複雑なのですが、
この障害を引き起こしてしまう原因についても複雑で
未だに完全には解明されていません。
はっきりしているのは些細なケガなどをきっかけとすること。
そして適切な初期対応がされなかったことにより、
痛みが損傷の程度よりも遥かに過敏になる・
通常想定される回復期間よりも長期にわたって持続してしまう
などの症状が大きな特徴とされています。
適切な対応がされなかったからと言って、
全ての方がCRPSになってしまうわけではありませんが、
打撲などのケガを管理する上では
常に注意を払う必要のある障害の一つです。
CRPSになりやすい方の特徴は明らかにされていて、
40~50才代・そして女性に多くみられます。
この特徴に合致する方は特に注意が必要ですが、
10代・若年者での発症の報告もあり
どの年代においてもCRPSを念頭に置いた対応は重要です。
CRPSが発生してしまいやすい箇所は
手や足といった身体の末端部分であり、
不意に障害物にぶつけてしまいやすい箇所といえます。
したがって打撲などの些細なケガによって
CRPSのきっかけになる場合が多いのです。
CRPSのまとめ
CRPSはその障害が完全に完成してしまうと
日本では難病に指定されているほど
回復するまでに非常に時間がかかり、
重症度によっては完全には元の状態には戻らないこともありえます。
したがって、CRPSの兆候については常に注意して
打撲などのケガに対応していかなければいけません。
特にCRPSのリスクが高い
・40~50代の女性
・手足における打撲などのケガ
は骨折などの重篤な障害でなかったとしても
「様子見で大丈夫」ということはあり得ません。
CRPSの症状の特徴として代表的なものは
・打撲などの軽微なケガの回復が通常よりも遥かに遅れてしまう
・打撲などの軽微なケガとは不釣り合いに強い痛みがいつまでも続く
この二つはほぼ必発と言えますが、
その他にも様々な症状が出現してきます。
・腫れがいつまでも退かない
・他の部位と比べて皮膚が熱い
・他の部位と比べて皮膚がどす黒い
・一部分だけ汗が多いorかかない
・爪・皮膚・毛などが他の部位と比べて変化してくる
個人差が大きいですが症状は非常に多岐に及びます。
このような特徴は接骨院や整形外科など
ケガに対応するような医療職の人間は
当然ながら熟知していなければいけませんが、
一般の方も頭の片隅に留めておいていただきたいのです。
当初は軽度な打撲だったとしても
症状がなんとなく長引いて感じるようなケースでは
CRPSの可能性を考慮した対応が絶対に必要となります。
打撲などの症状で少しでも思い当たるような際には
些細なことでもお気軽にご相談ください。
最後までご覧いただきありがとうございました。