「腰痛にコルセットは悪？」は本当か
腰痛に安静は悪！
腰痛にコルセットは悪！
とにかくいつも通り動け！
最近整体やトレーナーやセラピストなど様々な健康分野の人々で
『コルセットは絶対悪！』
かのような論調の方がいるのですが
その意見は本当なのでしょうか？
そもそもいつも通りの日常動作が痛いから
来院なり相談しているので
まず真っ先に腰痛を楽にしてほしいというのが
最優先事項ではないかと思います。
今回はそんなコルセットに着目して解説していきます。
コルセットが絶対に必要なケース
コルセットとは微妙に言葉のニュアンスが異なりますが、
腰を含めた胴体部分を支える固定装具（強固なコルセット）が
絶対に必要な障害はいくつも存在します。
年齢に伴う骨粗鬆症（骨が脆くなってしまう病気）や
交通事故などの激しい衝撃によって
”背骨がつぶれてしまう椎体圧迫骨折”
学生期の若年者がスポーツ負担などが引き金となり
”疲労骨折を起こしてしまう腰椎分離症”
これらの障害には腰を支えるための固定装具（強固なコルセット）が
まず間違いなく必要ということは定説化されています。
その他にも腰椎椎間板ヘルニアなどの障害で
症状が激しい場合にもコルセットなどの固定具は
積極的に活用されています。
腰にかかる負担を固定具をつけることで軽減することは、
骨折などで壊れた組織をより傷つけてしまわないため・
組織の修復を促すためにも有用であることは明白な事実です。
「コルセットは悪！」の根拠
腰痛全般のお話として数十年前にはほとんどの腰痛が
原因不明の非特異的腰痛とされていました。
画像検査が発達し研究が発展した現在では
ほとんどの腰痛は原因を特定できるとの見解に変わってきています。
大多数が非特異的腰痛とされていた時代に
漫然とコルセット装具をずっと着けていると
着けていなかった人と比べて症状の程度に変わりがなかった
という報告を根拠としているようです。
こちらも３０年前の論文での報告を根拠にしていて、
現在では否定的な見解も報告されています。
コルセットがないと生活ができない
コルセットを着けていないと着けてないと不安
といったように頼りきりになってしまうのは
私達医療にかかわる人間の責任もあるかと思いますが、
そこから「コルセットは悪！」「着ける意味は全くない！」
という論調はあまりにも飛躍的な発想で
根拠は乏しいことがおわかりになるかと思います。
またそのような論調の方々の多くは
上記に挙げた腰の骨折のような重篤な障害に対して
強固なコルセットを装着して対応した経験がある方は
ほぼ皆無と言えるかと思います。
対応をしたこともないのになぜ「コルセットは悪！」
と言い切れるのかについての根拠は何もありません。
コルセットの需要と効果は確実にある
インターネットで“コルセット”や“腰痛ベルト”
というワードで検索してみると、
たくさんの商品が該当し、選ぶことも大変です。
逆説的に言えばそれだけ需要もあり、
適切な症状に対して正しい装着方法をすれば
確実に効果があることの裏返しとも言えます。
漫然と長期間コルセットなどの固定具に頼ってしまうことに関しては、
もちろん私も否定的に考えています。
筋力トレーニングや体操・ストレッチなどを
組み合わせて行っていくことが腰痛に重要と考えています。
しかし、どんなものにも順序というものが重要です。
症状が強い・痛みが生じてからすぐの場合に
必要な期間コルセットなどでしっかりと固定をする
という対処法は非常に重要です。
症状の軽減と組織の回復を確実に判断した上で、
筋力トレーニング・体操・ストレッチは開始するべきだと考えています。
コルセットのまとめ
「コルセットが悪！」「着ける意味は待ったくない！」
という見解には何の根拠もなさそうです。
そのような説明をして手技療法や運動などを行うことで
多少なりともでも楽になると
（その後の経過が良いということにはつながりません）
対応をしてもらった方は施術者に対しての
依存性が増加するという心理的な効果を
営業的に利用しているのかもしれません。
腰痛でお困りの方には
コルセットに対して正しい知識をもって、
活用できるよう参考にしてみて下さい。
腰痛やコルセットの事でお悩みでしたら、
些細なことでもお気軽にご相談ください。
最後までご覧いただいてありがとうございました。
