お子さんの腰痛・疲労骨折かも… 腰椎分離症
あまりイメージはないかもしれませんが、
腰は疲労骨折が起こりやすい場所の一つです。
お子さん(小学生~高校生)の長引く腰痛では
疲労骨折・腰椎分離症を起こしているケースは少なくありません。
今回はそんな腰の疲労骨折・腰椎分離症について解説します。
そもそも疲労骨折とは?
疲労骨折という言葉自体を聞いたことがある方は多いと思いますが、
まずはその言葉の意味について解説をしていきたいと思います。
骨は固く強い強度の組織ではありますが、
鉄などの金属と同様に強い力がかかればしなります。
負担が継続的にかかり続けると金属疲労と同様に
亀裂が入ってしまったり、完全に折れてしまったり、
といった反応=疲労骨折を引き起こします。
通常の骨折は一度の力によって折れてしまう事を言いますが、
疲労骨折はこのように繰り返される刺激(例えばスポーツや動きっぱなし)で
骨という固い組織が徐々に壊れて骨折してしまう事を言います。
腰の疲労骨折
胴体に存在する背骨の骨は
【首の部分が頸椎】
【背中の部分が胸椎】
【腰の部分が腰椎】
と3つに分類されています。
腰の背骨である腰椎の骨の中で
前方にあるブロック状の部分(医学的に正しくは椎体と言います)と
後方に枝分かれした突起状の部分(医学的に正しくは関節突起)の間で
疲労骨折を起こしてしまいやすいポイントが存在し、
前方部分と後方部分が分離したようになるので
”腰椎分離症”と呼ばれています。
腰における疲労骨折はまずこの場所でしか起こりません。
腰椎分離症が起こりやすい人は?
子供と大人とでは骨の強度は大きく異なります。
大人のミニチュアが子供というわけではなく、
子供の骨は大人になるまでは構造が違うのです。
子供では成長し骨格が大きく・太くなるために
骨の一部は軟骨でできており、
骨よりも流動的で成長のための余地が残されています。
そんな子供の骨は強度が大人よりも弱く疲労骨折を含め
骨の損傷が大人よりも起こりやすい時期と言えます。
したがって腰椎分離症が起こりやすいのは
小学校高学年~高校生くらいまでの
学生時期に起こりやすい障害と言えます。
腰椎分離症の症状
腰椎分離症による症状として痛がまずあげられます。
他の疲労骨折と同じように最初から激烈な痛みということは少なく、
運動後に傷む→運動時にも痛む→日常生活でも痛む
といったように対処がされないことによって
痛みの程度が変化していく事が特徴です。
そして分離症が進行して完全な骨折になってしまった際に
前方の部分と後方の部分との安定性がなくなると、
分離症を起こしてしまった腰椎がその下に連なる腰椎から
前方に滑るように本来の位置からずれてしまう事が起きます。
こうなってしまうことを”腰椎すべり症”と言い、
分離症と合わせて
分離すべり症という障害へ進行する危険性があります。
こうなってしまうと当初の痛みだけの症状ではなく
背骨の周囲に存在する神経を刺激してしまい、
痺れや筋力低下などといった
より複雑な症状を引き起こすこともあります。
子供の長引く腰痛はそれだけで危険
小中学生で2週間以上続く腰痛のMRI検査をしたところ
45パーセントが腰椎分離症であったという報告があります。
最近はスマホ首といった言葉が使われているように
子供の頃から姿勢の問題を抱えている子も少なくありません。
姿勢の問題からより危険性は少ない
筋肉性の腰痛を訴える子もいるかとは思いますが、
子供の時期の腰痛は腰椎分離症のように
注意しなければいけない問題を抱えていることも多い
ということは是非覚えていてください。
まとめ
腰椎分離症だけではなくどの疲労骨折にも共通することですが、
疲労骨折は進行性の障害ですので、
いきなり通常の骨折のようにばっきりと折れてしまう事はありません。
そうなる前の初期段階で必ず軽い症状から始まってきます。
子供の腰の痛みというのは成人以降の腰痛とは異なる点が多く、
注意しなければいけない問題を抱えていることも少なくありません。
腰椎分離症に関しても例にもれず初期の対応が非常に大切になります。
初期からの対応が適切に行われれば
完全な疲労骨折への進行を抑えられる
という報告も多数あがっています。
腰椎分離症の事だけでなく
小学生~高校生の腰痛の事でお悩みでしたら
些細なことでもお気軽にご相談ください。
最後までご覧いただいてありがとうございました。