その症状は本当に肉離れですか？
肉離れは筋肉が存在する箇所であれば
身体のあらゆる部位で起こる可能性がありますが、
大半は大きな力を発揮する脚の筋肉で発生します。
”肉離れ”の重症度はピンキリであり
決して簡単には考えられない障害ではありますが、
なんとなく歩けてしまう・動かせてしまうくらいだと
「大丈夫かな・・・」と様子を見てしまうケースは
少なくありません。
しかし、肉離れと同じような外力で発生する
同じような症状を引き起こす障害でも
より危険な損傷が潜んでいることがあります。
今回はそんな肉離れに類似した障害について
症状と注意点について解説していきます。
骨盤のあたりが痛い・・・
肉離れかな？と思ったとしても
骨盤のあたり・股関節付近の痛みを生じている場合には
総じて重症度が高いケースが多く注意が必要です。
そのようなケースでは肉離れ・筋肉の損傷ではなく
筋肉が（途中で腱という組織に移行し）
最終的にくっつく骨を引き剝がすように折れてしまう
剥離骨折（裂離骨折）である可能性も高いです。
骨盤には太ももの筋肉のほとんどが付着していて
骨盤を構成する前方の恥骨・後方の坐骨・上方の腸骨
それぞれの部位で剥離骨折を起こす可能性があります。
このような骨盤の剥離骨折では
手術が必要となるようなケースは少なのいですが、
固定・安静をとる期間がより長く必要になったりと、
肉離れとは対応の違いが求められます。
股関節・骨盤のあたりりで
・バチンと大きな音が聴こえた
・何かが切れたような衝撃が走った
といった感覚を感じた場合には
上記のような剥離骨折の可能性が高いので、
様子を見ることなく早期に医療機関への受診を勧めます。
足首のあたりが痛い・・・
膝から足首の間までの部分を医学的には下腿と称します。
アキレス腱は一般の方もご存じのように下腿の後方で
足首にかけてはっきりとしたスジ状の組織の事を言います。
ふくらはぎの筋肉の肉離れかな？と思ったとしても
下腿の中央から下１／２以下の部分の痛みがある場合には
一般の方がアキレス腱の断裂と区別することはかなり難しいです。
実際アキレス腱断裂の方でも来院時には
（希望的観測も含めての意見だと思いますが）
肉離れではないかとおっしゃる方も少なくありません。
アキレス腱断裂というと手術をすることもある
重症なケガという印象をお持ちの方が多いかと思いますが、
多くのケースでなんとか歩くことはできます。
したがって、
『歩けるからアキレス腱断裂ではなく肉離れ』
という法則は残念ながら成り立ちません。
ふくらはぎの肉離れでも、アキレス腱断裂でも
・バチンと大きな音が聴こえた
・何かが切れたような衝撃が走った
といった感覚を覚えることが多いので、
ふくらはぎの足首に近い部分での症状の場合には
様子を見ることなく早期に医療機関への受診を勧めます。
本当に肉離れ？のまとめ
肉離れであれば軽傷で心配がないというわけでは決してありませんが、
骨盤の剥離骨折やアキレス腱断裂といった障害の場合には
肉離れとは対処方法や回復期間が異なります。
肉離れかな？と感じて、同じような症状であったとしても、
剥離骨折・アキレス腱断裂といったケースは
決して珍しいことではありません。
今回解説したような症状や注意点を
医療機関受診の参考にしていただければ幸いです。
肉離れだけでなく、骨盤の剥離骨折・アキレス腱断裂といった障害に関して
お悩みがありましたら些細なことでもお気軽にご相談ください。
最後までご覧いただいてありがとうございました。
