手首の捻挫の本当のこと
バランスを崩して、転びそうになって
とっさに手が出てしまい、
手をついたことで手首を痛めてしまう
このような経緯によるケガは結構多いです。
足首をひねった時は骨折がなければほぼ間違いなく“捻挫”と言われます。
同じように手首でも”捻挫”という言葉が用いられているケースもありますが、
手首においては捻挫という障害名では不適切であることも少なくなく、
捻挫という言葉や説明自体が患者さん自身もケガを軽く考えてしまうことにもつながり、
手首が不安定な感じがする…
強く握れない・力が入りづらい…
手をつくといつまでも痛い…
このような症状を長引かせてしまうことにもつながります。
今回は手首の捻挫に潜む危険性について説明していきます。
足首の捻挫とは違う
“捻挫”は足首や手首といった関節が外れるような強力な外力が加わったことで
主に関節を保護する靭帯や腱といった組織が傷つくことを言います。
足首には“捻挫”という言葉がよく用いられる理由として
足首を捻ってしまった・くじいてしまった時には
前距腓靭帯という靭帯を損傷するケースが
他の組織の損傷と比べてとびぬけて多いため、
足首の捻挫=前距腓靭帯という使われ方をされています。
では手首の場合はどうかというと
足首のようにとびぬけて損傷するケースが多い
といったような組織が存在しません。
したがって足首以上に手首を捻挫・痛めた際には
どの組織を痛めてしまったのか?という判断が重要となります。
この判断を明確にできていないために
重症度やその後の危険性に関しての理解が
不十分となってしまっているケースが多いのです。
“捻挫”という言葉だけ聞くとそこまで重症でないような
イメージを持たれる方もいらっしゃるかと思います。
そのようなイメージのまま
なんとなくテーピングしている…
なんとなく包帯されている…
なんとなくマッサージされている…
いつのまにか一か月・二か月も痛い…
このような場合には要注意で、
重篤な損傷が隠されているケースが多いです。
手首の捻挫で注意すること
捻挫という言葉に含まれる靭帯をはじめとした
骨以外の組織はレントゲンにははっきりとは映りません。
したがって、手首の捻挫はレントゲンを撮ってもらったから安全。
とは言いきれず、レントゲンではわかりづらい障害といえます。
手首は写真のように
小石くらいの大きさの骨(医学的に正しくは手根骨といいます)
が密集してできています。
手首の捻挫による障害組織の判断にはこの手根骨を
それぞれ触り分けて痛みを判断することに加え、
手首の動く範囲が狭まっているか
手首のどの動きで痛みが出るか
などといった症状を複合的に見定める必要があります。
加えて当院では最新式のエコー検査機器を用いて
骨はもちろん・それ以外の組織もチェックすることで
手首の捻挫がどんな組織の障害によって発生しているかを
初診の段階で徹底的に究明しています。
多くの方の認識として
骨折は重症!捻挫なら軽症!と漠然としたイメージをお持ちかもしれませんが、
こと手首に関して言えば
ひびが入った程度の骨折や、子供の骨がひしゃげたような骨折であれば
靭帯などの損傷の方がより厄介なケースも少なくありません。
そのような重症の手首捻挫の際にも重要なことは
捻挫とひとくくりにしてなんとなくの対応をすることではなく、
初診で真っ先に傷害している組織を詳細に見極め、
初期段階ではしっかりと患部の安静固定をすることで
痛みをできるだけ早期に落ち着かせることが、
そのあとに続くリハビリを早期に開始することにつながり
結果的に素早い改善へとつながります。
手首の痛みや捻挫のことでお悩みの方はお気軽にご相談ください。
最後までご覧いただいてありがとうございました。